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エネルギーの選択2015
2015-06-03

おはようございます。鳥井修です。

 

今日は日本のエネルギーについて考えてみたい。21世紀政策研究所研究主幹澤昭裕氏が電気新聞に書いた記事について紹介したいと思う。少し長い文書になってしまったが、ぜひ読んでもらいたい。

 

15年前の2000年と今を比べると、ライフスタイルや産業構造が大きく変わっているわけでもない。21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は30年のエネルギー比率を巡り、「経済、社会構造が大きく変化するというイメージを持たない方がいい」と述べ、供給構造も「現在の数字を大きく置き換えられるものではない」とみる。原子力比率は20~25%の幅に収まると予測し、30年以降も一定の比率を維持していく上で必要となる新増設・リプレース投資への政策措置が欠かせないと説く。

 

 

◇多様化が重要
将来の温室効果ガス排出削減目標、エネルギー比率を巡る議論が始まった。
「3Eがメーンだが、中東でのテロもあり、エネルギーセキュリティーが日本にとって根っこにある課題だ。特定のエネルギー源に偏らない多様化が最も重要なのは言うまでもない。石油危機を知る世代が減る中、セキュリティーはイメージしにくいかもしれないが、通産省入省直後に第2次石油危機を経験し、日本の脆弱性を肌で知った人間として、この点は強調しても、しすぎということはない」30年の社会・産業構造を見通すと、どのようなエネルギー供給構造が考えられるか。
「30年は、今から15年先だ。逆に15年前の00年を振り返ると、情報技術の発達はあったにせよ、移動に車や飛行機を使うように、ライフスタイルはあまり変わっていない。つまり、この程度のタイムスパンでは経済や社会構造が大きく変わるというイメージを持たない方がいい。15年という時間軸では(エネルギー供給に関する)新たな投資は1回程度。斬新な技術が投入されるというより、既存技術の延長線上のものが投資されるというのがリアルな姿だろう。人口減少などで需要サイドは影響が出てくるかもしれないが、供給サイドは大きな影響は出てこないだろうし、影響させてはいけない。需要サイドにしても、円安が続けば産業が国内に戻り、需要が増えるかもしれない」

 

 

エネルギー源ごとの比率はどうみるか。
「15年先の社会・経済構造が大きく変わらないと想定すると、供給構造が大幅に変わると経済との整合性が取れなくなってくる。経済的には従来の電源構成とそれほど変わらないのが自然。原子力発電は20~25%、石炭火力も25~30%というのが経済的には望ましい。だが石炭は環境制約上、なかなか伸ばせない。一方、原子力比率が20~25%で、再生可能エネルギーがそれ以下というのも政治的に難しい。そうした観点から再生可能エネは25~30%の幅になるのではないか」
「再生可能エネ比率は30%が攻防ライン。原子力比率を仮に15%程度まで下げてしまうと、火力発電の比率が相対的に増すことになるので温暖化防止の約束草案で苦労することになり、原子力比率を下げることの意味は薄い。もう一つの攻防ラインは、原子力の更新投資を読み取れるようなものになるかどうかだ。石炭火力を日本としてどの程度のポートフォリオで持つのかもポイントとみている」

 

 

◇新増設は必要
原子力新増設の必要性と条件は。
「原子力比率が20%でも25%でも、それは30年時点の断面にすぎない。私はその先も一定規模で維持すべきだと考えており、新増設は必要だ。これを自由化された環境の中で行うには、総括原価方式という投資回収の仕組みがなくなる中で、政府による補完的な措置が必要。第3弾の自由化が始まるタイミングと同時に、投資回収が可能な措置を打ち出さないと、新増設は行えない」
「核燃料サイクル、バックエンド問題についても明確な方針を示さなければならないだろう。総合資源エネルギー調査会原子力小委員会の中間整理は、問題点から逃げずに書き込んであると評価しているが、それがどう進化していくかに期待している。サイクル事業を巡ってはもう一度、官民が合同で検討する必要がある。プルトニウムバランスの説明責任などは国が負うべきものだ。原子力政策大綱に代わるような基本政策を経産省が策定し、閣議決定を経るようなプロセスを法律で定めた方がいい。経産省にはそれぐらいの腹構えが必要だ」