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ラグビーブーム
2015-10-29

こんばんは,鳥井修です。

 

今日から天候が崩れ小雨が降っている状況、いよいよ冬の到来かと感じさせる季節となった。今週の土曜日は雪もちらつくとの予報も出ているので、早目の冬支度もしなければと思っている。

 

さて、今日はラグビーブームについて。今回の代表チームの活躍はラグビーのメディア価値を飛躍的に向上させ、連日のように新聞やニュースでラグビーに関する話題が取り上げられた。そうしたメディアの力に加え、SNSを通じた「興奮の拡散」がこれまでラグビーに興味を持たなかった人々に「転移」し、多くの人々がラグビーに対して好意的な態度を形成するに至った。

 

しかしながら、感動がもたらす効果の継続性にも限界があり、徐々にその熱が冷めてくる(飽きてくる)ことが一般的。感動は、ポジティブな感情に驚き(surprise)の感情が加わることによって、事前に抱いていた期待を大きく上回って(ポジティブな期待の不一致)発生するとされている。

 

こうした「驚きを伴った感動」は一般的に強いインパクトを持つものの、長期的な効果が得られるとは限らない。一方で、感動には驚きの感情を伴わない「予定調和の感動」の存在も指摘されていまる。例えば、何度も聞いたことのある音楽なのに感動してしまう、何度見ても泣いてしまう本や映画のことを思い出してみてほしい。その経験には驚きの感情はないはずで、一定の特徴的なパターンに沿って感動に至る。

 

例えば、スタジアムで得られる感動の中にも「試合前に他のサポーターとチームソングを歌う際は常に感動する」といった予定調和の感動に該当するような事例もある。予定調和の感動が持つ利点は「再現可能性」であり、一度作り上げると何度でも再利用が可能になる。試合結果の不確実性を伴うスポーツにおいて常に「驚きを伴う感動」を再現することは難しいため、たとえ応援チームが負けたとしても満足・感動できるような仕掛けを継続的に創造していく必要がある。

 

今、ラグビー界にとってはチャンスが到来している。2019年のラグビーワールドカップ日本開催に加え、来年から世界のトップチームが集う「スーパーラグビー」への日本チームの参戦が決定し、世界トップレベルのチームとの対戦が日本でも観戦することが出来るようになる。

 

部活動でのラグビー部員数の減少が叫ばれる一方で、子供を対象としたラグビースクールの生徒数が伸びているという報告もある。注意すべきは、今回新たにラグビーに興味を抱いた層(所謂にわかファン)に対するアプローチの仕方。こうしたファンが例えばW杯大会後に国内リーグの観戦に出かけた際に失望させない工夫が必要になる。

 

スタジアム内のWiFiの整備や、ルールを解説するアプリの開発、スタジアムサービスの充実や、ラグビー初心者でも入りやすいスタジアムの雰囲気作り等、ファンのニーズを分析し、試合でのパフォーマンス以外の要素を充実させることは普及活動やチームの強化と同時に重要である。

 

スタジアムでもたらされる感動のうち、満員のスタジアムでの観戦で喚起される「共鳴・一体感」を創出するためには、そうしたにわかファンの”数の力”も必要になり、満員のスタジアムでの観戦経験はたとえルールがわからなくても、全ての観客にとって十分に人々の心理的状態を覚醒に導いてくれるからである。

 

ヒントとなる活動は、2013年ラグビー早明戦に向けて行われた「早明戦集客プロジェクト」に見られる。これは、早明戦の観戦者数の減少と早明戦国立競技場の取り壊しに伴って設立され、早大OBを中心として対戦校である明治大学も巻き込んで行われた集客プロジェクト。両校の大学サークルや有名シンガーによる試合後イベントに加え、応援タオルの配布や記念誌の発刊、様々な媒体を用いた広報活動を通じたマーケティングの結果、46,000人を超える集客を成功させた。

 

今後、集客の視点からラグビー人気の持続を考える際には、こうした仕掛けを恒常的に創造できる人員・組織を確保し、集客によるインセンティブが働く組織的な構造改革が必要になってくると考えられる。